スコープを決めて開発せよ


ここ最近自分の周りでトラブっているプロジェクトを見ていると、各種スコープを 決定せずに開発してしまっている事が目に付きます。というより、これらのバランスが 全然取れていない事が多いです。

ソフトウェア開発での主なスコープは「仕様(機能)」「期間(納期)」「コスト(リソース)」「品質」 がある訳ですが、これらのどれをぼやけた状態にして進んでも、また過剰にし過ぎても ソフトウェア開発プロジェクトは失敗の方向に進んで行くと、私は思っています。 これらを無限に取れるプロジェクトなんてまずお目にかからないですから、必然的にこれらの 間のバランスを取って(というか取らざるを得ず)開発を進めることになりますから。

例えば仕様。

お客様は結構色々な機能を欲しがりますが、それを全部実装しようと思ったら当然期間・コストに 影響が行くわけですが、そこをお客様が許してくれるかというとそうではなく、一定の期間・予算 でやる事になる訳でして、それを無理にやろうとするとコスト・品質に甚大な影響が出てきます。 仕様の実装で現場はアップアップで、やる為には人を増やす・テストを省く(かざるを得ない) と言ったトレードオフが行われるので、当然ですね。

次に期間を見てみると、期間を削ろうとすれば当然その期間内で実装可能な仕様は減りますし、 それをそのままで開発しようとすれば人(コスト)をかけざるをえず、そうなってくると結果的に 上の仕様のパターンと同じ事が起こるわけです。

書くまでも無いですが、コスト・品質についても同様の影響が出ます。 ここまでは、色々な所で論じられている訳で、今更言う事でも無いですが。。。

こういった事を分かってか、分かって無くてか、上記の様なパターンに当てはまる事を 平気で受けてしまう人々がいるんですね。 そしてプロジェクトは失敗(というか破滅)に向かう事になります。

そうなると結果的に自分たちもボロボロになりますが、 お客様にも満足の行くサービスが提供出来無い事になります。 色々お客様の為にしているつもりでも、結果的にお客様を不幸にしている。 ここに気が付かない人々が結構います。

お客様に上記の様な事を理解して頂き、お互いに幸せになれるような方向に持っていく。 その為には時にお客様とやりあう事になるかもしれませんが、お客様の事を考えてで あれば最終的に理解して頂けると私は思っています。 また、理解して頂く様、説明しなければなりません。

お客様にははっきりと物をいいづらいと思い、ただ唯々諾々と従っているだけでは その時点ではお客様はにっこりしているかもしれませんが、後々怒り出すのは明白です。

そして、これらを実行・実現するのがプロジェクトマネージャの役目であると思っています。

こういった辺りが理解出来るプロマネが増えて欲しいものです。 と思いつつ、自分への自戒を込めて、記します。


©niwaken(niwaken@mtg.biglobe.en.jp) 2004 All rights reserved